津田沼駅内のモンブランは仲直りの香り


 ケーキをおみやげに買って帰ることがある。
 喧嘩したりなんかして、妻の機嫌が悪いときなどだ。その他、とにかくなにかしら都合が悪いようなときも買って帰る。
 そうすると、そんなものを買ってきてもごまかされないからな!というようなことを言われることがあるが、わかってるわかってる、と言いながらとにかく一緒にケーキを食べるのだ。
 それで妻の怒りが収まらないときは、そうそうにあきらめて距離を取る。
 ケーキの甘さの魔力なのかなんなのか、だんだん妻の態度も軟化してくる。かくして、よくわからないけども、なんとなく仲直りができるというわけだ。
 そんなありがたいケーキだが、効力は、やはりおいしさに比例する。そこいらのテキトーな店で買ったショートケーキではだめで、何かしら個性を漂わせていて、もちろん、ちゃんとおいしいものでなくてはだめだ。
 そのためには、ぶっつけ本番ではなく、普段からあちこちのケーキを食わせて反応を見ておくといいだろう。
 いくつかのケーキ屋などをめぐり、なかなか食いつきがよかったのが、津田沼駅構内にあるガトー・ド・ボワイヤージュだ。
 シブースト、というチーズケーキもどきと、モンブランっぽくないモンブランがおすすめだ。
 ただ、注意しなくてはならないのは、ここのシブーストとモンブランは、完全に凍っている場合があり、解凍に3、4時間かかることがあるってことだ。
 せっかく買って帰っても、すぐに家で食べられないケーキ。おいしものが目の前にあるのに、おあずけを食らうことによって、腹が立ち、妻の機嫌がますます悪くなることも考えられる。
 そういうときは、解凍不要のミルクロールケーキを選択だ。こちらも、なかなかうまい。
 おなかが減ると腹が立つもの。なんか最近いらいらしてやがるな、と思ったらケーキでも食わせて、そして自分もケーキを食ってみたりすれば、なかなか喧嘩になりにくい雰囲気が作れるんじゃないだろうか。
 後は「都合の悪い時だけケーキ買ってくる」という印象を薄めるために、ときおり、何もないのにケーキ買って帰るというフェイントもおりまぜればなおいいだろう。
 妻との衝突を避ける、ずるい夫を目指しつつ、今回の体験談を終わる。